爪水虫にご注意!
2021年7月16日
湿気が多いこの季節に注意したいのが「水虫」。
当院でも、梅雨を迎える頃から夏にかけて水虫に関するご相談が増える傾向があります。
今回は、水虫の中でも意外と知られていない「爪水虫」のお話です。
爪水虫とは
水虫といえば、特に足に生じやすいことでよく知られています。
「足白癬(あしはくせん)」と呼ばれ、「白癬菌(はくせんきん)」が繁殖して起こる皮膚の病気です。
白癬菌はカビの一種で、爪や皮膚にあるたんぱく質を好み、高温多湿の環境で活発に活動します。
そして、同じ足の水虫でも爪の中にできた水虫が「爪白癬(つめはくせん)」、いわゆる「爪水虫」なのです。
主に足水虫を放置することにより、菌が足から爪に入りこみ発症します。
症状は爪の先端から始まり、根元に向かって段階的に拡大していくことが多く、色も白色からやがて黄色や黒色へと変色していきます。
更に、増殖した白癬菌に爪が破壊され、中に空気が入り込むことで爪が厚くなり靴に当たって痛い、歩きにくい、といった支障も。
しかしながら、「爪水虫」自体は痛みや痒みがないため、見た目に変化が現れても放置したり、自己判断で市販薬に頼るケースが後を絶ちません。
自己対処によるリスク
今は市販薬の選択肢も多いですし、水虫が恥ずかしいという思いからご自身で治そうと考える方もいるかもしれません。
ですが、爪水虫の場合は爪の奥深くの菌まで薬液が届かずになかなか完治しないというケースも多々見られます。
更には爪から白癬菌が供給される為に、足水虫も一向に治らないという事態さえ招きかねません。当然ですが、自然に治る事も決してありません。
こうした悪循環を断ち切る為にも、まずは皮膚科で専門医の診断を受けることをお勧めします。
爪水虫の治療
爪水虫の治療には抗真菌薬が有効ですが、前項で記したように塗り薬だけでは菌に届きにくい為、飲み薬を併用する治療が一般的です。
塗り薬は、浸透力の高い水溶性の抗真菌薬を用います。飲み薬については症状に合ったものを処方しますが、副作用として肝臓に影響を及ぼす恐れのある薬もありますので、長期服用の際は血液検査を行い肝臓の数値を定期的に診る必要があります。
治療スケジュールは、
1日1回1カプセル×12週間の内服
です。終了後、経過観察していく中で正常な爪が伸長していきます。
副作用で最も多く見られるのが肝機能障害です。
その確認のため、初回(内服前)と4週間後の2回、血液検査を行います。
なお、近年登場した新薬「ネイリンカプセル」は、高い効果を発揮しながらも肝臓への副作用が少ない、という点から幅広く処方されています。
まとめ
通常の足白癬であれば、処方通りに薬を塗布、服用することで完治が見込めます。
ですが、服用の過程で自覚症状が消失するとその時点で治ったと思い込み治療自体を中断される患者様もいらっしゃいます。
結果として残存した白癬菌が時期を経て再発、症状を繰り返すといったケースも多いので、思い当たる方は是非当院へ一度ご相談下さい。
薬の副作用や体の状態に合わせて治療を行うことで、より安全に、かつ効果的に治療ができます。