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デュピクセントの特性と利用時の条件や注意点

2020年8月31日

近年では、従来の薬のみならず新薬も活用されています。
今回はアトピー性皮膚炎の新薬として用いられている、「デュピクセント」について特徴を解説していきます。

デュピクセントとは

デュピクセントとは、アトピー性皮膚炎の新薬です。

かゆみや炎症をともなうアトピー性皮膚炎の多くは、「IL-4」と「IL-13」というたんぱく質が原因となって発生するものと考えられています。

IL-4とIL-13は、人間が本来持っているバリア機能を低下させるため、さまざまな刺激やストレスに弱くなります。

そのためお肌も紫外線、汗、アレルギー物質などの刺激を受けやすくなり、かゆみや痛み、ただれなどを起こしてしまいます。

デュピクセントを利用しこれらのたんぱく質を抑制することでかゆみなどを抑え、アトピー性皮膚炎を改善へ導きます。

IL-4およびIL-13は、アトピー性皮膚炎のほかに気管支喘息や慢性副鼻腔炎といった症状を招くこともあります。

そのため、アトピー性皮膚炎に限らずさまざまな疾患の治療に用いられています。

デュピクセントの特性

デュピクセントには、アトピー性皮膚炎の根本的な原因へ働きかけるという特徴があります。

先ほどアトピー性皮膚炎の原因としてIL-4、IL-13といったたんぱく質の存在を説明しましたが、これらのたんぱく質が分泌される大もととなるのはTh2というリンパ球です。

Th2へ働きかけることでIL-4、IL-13の作用を根本から抑えることにつながり、お肌本来のバリア機能を取り戻して肌トラブルを改善へ導きます。

初診時デュピクセントを投与してもらうことはできない?

初診時にいきなり投与してもらうことはできません。

デュピクセントを投与する際には皮疹がどのくらい深刻化しているか、あらかじめスコア化する必要があるからです。

そのため、初診の場合にはまず「これまでにどのような治療を行ったか」、「どのくらいの期間治療を続けたか」、「その結果どのような変化が見られたか」という基本情報をカウンセリングしなければいけません。

これらの情報を精査した上で、問題ないと判断された場合にはじめて、次の受診時以降の投与が可能となります。

また、デュピクセントの薬剤は冷蔵庫にて保管されますが、投与の際には45分以上前に常温で保管し、適温に戻さなければいけません。

そのため、来院から治療までにも時間がかかる可能性があります。

デュピクセントによる治療が受けられる条件と注意点

このような特徴のあるデュピクセントですが、実際に投与するにあたっては条件や注意点があります。

まずは、ご自身がデュピクセント治療を受けられる条件に一致しているか確認してみてください。

デュピクセントによる治療が受けられる人

□問題なく費用負担ができる人
デュピクセントの治療費用は決して安価ではありません。

治療を続けていく上で、費用負担が厳しくなってしまうことが想像される場合には治療を受けられません。

□2週間に1度程度の通院が可能な人
デュピクセントの注射は、2週間に1度程度の頻度が目安となります。

□外用療法が問題なく利用できる人
近年では、デュピクセントの自己注射も可能です。

だからこそ、主治医の指示に従い取り扱い方、注意点、保管の方法などをよく理解できることが重要な条件となります。

治療が受けられない人

続いて、次のような条件に当てはまる人は、デュピクセントを投与できません。

□15歳未満の人
□高齢の人
□近いうちに生ワクチンを接種する予定のある人
□妊婦または妊娠の可能性がある人
□授乳中の人
□薬の使用によってアレルギー性疾患が出たことがある人

また、ほかに常用している薬がある場合、相性によっては作用に影響を与える可能性があることから、よく相談した上で利用することをおすすめします。

治療の際の注意点

まれに、投与にあたっての副作用も報告されています。

デュピクセントを注射下部分が腫れる、かゆくなるといった症状のほか、まれにアレルギー性結膜炎、めまいや発熱のような副作用も報告されています。

もし気になる症状があらわれたときにはすみやかに使用をやめ、医師の指示をあおぐようにしてください。

まとめ

アトピー性皮膚炎の根本的な原因に働きかけるデュピクセントは、従来の治療に不満があった人には効果があるかもしれません。

一方、投与にあたっては条件が定められており、まれに副作用も報告されることから注意点をよく理解する必要があります。

自己注射をする際にはよりいっそう注意点を理解した上で、デュピクセントの投与を検討してみてください。

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