チャドクガ皮膚炎について
2021年6月14日
チャドクガ皮膚炎について
主に四肢などの露出部位にみられ、強い痒みを伴うのが特徴的な皮膚炎です。
チャドクガの毛が原因で起こります。
庭いじりをする方や、外遊びの多いお子さんは特に注意が必要です。
素早い判断と対応ができるよう、知識を身につけておきましょう。
チャドクガとは
お茶の葉につくことから、「茶毒我(チャドクガ)」という名前がつけられています。
チャドクガは卵で越冬し、孵化した幼虫(毛虫)がサザンカなどツバキ科の葉を食べて成長します。
その後、成虫(蛾)になりツバキ科の植物の葉に集まります。
チャドクガには毒針毛があり、毛虫だけでなく卵や繭の表面、メス蛾の尾端部にも存在するので気づかないうちに皮膚に触れて突き刺さり皮膚炎をおこします。
庭仕事や公園の植え込みなどでの作業のあとに生じることが多いですが、直接触らなくても、風や衝撃などをきっかけにたくさんの毛を飛ばすこともあるのです。
服や体につくと落ちにくいのが特徴で、ときには服を通して中に入ってしまうこともあります。
「予防のために長袖を着ていたのに皮膚炎が起きた」という方が多いのもそのためです。
ツバキ科の植物に近寄らないことが大切です。
この皮膚炎の被害が増えるのは、毛虫になる6月・9月・10月ごろで、今特に増えています。
今年は梅雨入りが早かったせいか、例年より早くからこの皮膚炎の患者さんがちらほら診られます。
家庭でできること
チャドクガによる皮膚炎の場合、まず服を着替えて毛を洗い流すことが重要です。
もし毛がついてしまった場合は、洗濯をする前に、ガムテープなどを使って除去することが大切です。
衣類に付着すると洗濯してもある程度残存するので、触れた可能性のある衣類は他の衣類とは分けて複数回の洗濯をするのが無難です。
クリニックでは
チャドクガによる皮膚炎と診断した患者さまには、かゆみを抑えるための抗生剤と、赤みや腫れを抑えるためのステロイド外用薬を塗布します。
かゆみが強い場合は抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤を内服します。
薬を服用すれば、かゆみや腫れは数日内に治まります。
ただ、炎症が起きた後しばらく治療せずに過ごされた方や、患部をかいてしまった方、アレルギー体質の方などは炎症が治まるまでに時間がかかることもあります。
チャドクガによる皮膚炎は、蚊と違って良くなるまでにかなりの時間がかかります。
赤い発疹や強いかゆみがある場合は、できるだけ早く受診して治療を始めてください。
ちなみに被害を受けた時の衣服は毒針毛が残存していることがあるので、複数回洗濯をしてから着るようにしてください。
私の体験談
私も数年前にこの皮膚炎になりました。じんま疹に似たような強い痒みにしばらく苦しみました。
当時、大阪市内のマンションに住んでいた私は、帰宅時に蛾が一緒に入って来てしまい玄関の壁にとまってしまいました。
幼少期には田舎暮らしだったので虫は平気でしたが大人になると昆虫類が怖くなりますね。
A4のクリアファイルを持ってきて必死に格闘し何とか外に追い出せました。
その後からです。
「何かおかしい、痒い、ぶつぶつが出てきた。かかなかったらじんま疹みたいにひくんだけど。。。」
症状はスッとはひかず、約2週間痒みに苦しみました。
もちろん皮膚科医なのでチャドクガ皮膚炎の存在は知っていました。
ですが、お恥ずかしい話です。毛虫は知っていましたが、蛾の容姿を勉強不足で知りませんでした。無知が招いた悲劇でした。
知っているのと知らないのでは大きな違いがあると勉強になりました。
みなさま、お気を付けください。